お口と全身の健康チェック

    リスクの診断

    セルフケアやプロフェッショナルケアはもちろん、詰め物や被せ物などの補綴治療を行う上でも、口腔内のリスク診断は欠かせません。
    それは何より、患者さんの理解と協力を得るために有効なツールと考えているからです。

    歯の健康を維持するための予防ケアはもちろんのこと、良い治療を行うためにも、患者さまのご理解とご協力はなくてはならない大切な要素。ですが、私たち歯科医師・歯科衛生士は、患者さんの口腔内を診ると、大体どんな状態か、どういったリスクがあるのかということは把握できますが、その状態を口頭で説明するだけでは、患者さんの理解を得ることは容易ではありません。

    特に自覚症状がない場合だと、説明を受けた内容が実際にご自身のお口の中で起きてるということに、いまいちピンと来ない方がほとんどです。
    そこで、口腔内の状態を目に見える形で数値化することのできる検査を利用しています。

    患者さんにしてみると、私たちの説明内容が、実際に検査結果として数値となって示されるわけですので、より深く納得できますし、治療へのモチベーションも高めていただけています。
    当院では主に、下記の検査を取り入れています。

     

    唾液検査によるがんリスク検査

    リスクの診断

    現在のがん罹患リスクを手軽に測定できる「サリバチェッカー」

    「サリバチェッカー」は、慶應義塾大学先端生命科学研究所の研究成果をもとに開発した、がんの早期発見が期待できる新しい検査です。だ液中の代謝物を最新の測定装置を用いて測定、解析することで現在がんに罹患している可能性を調べることができます。

    だ液中には体の中で生成される多数の小さな分子(代謝物)が含まれています。
    サリバチェッカーはこれらの物質でがん組織の中から特異的に濃度が上昇する複数の物質を最新の測定装置で分析し、さらに人工知能で解析することで、臨床研究のデータと照らし合わせてがんの疾患リスクを評価しています。

    血液や尿と違い痛みや負担もなく検査できるため定期的なセルフチェックに最適なスクリーニング検査です。

    サリバチェッカーでリスク検査可能ながんの種類

    サリバチェッカーでは、日本人のがん死亡原因として上位のがんの種類(男性5種類、女性6種類)の利子句を判定可能です。
    大きな特徴は、生活の質が低下しやすい「口腔がん」と手遅れになりやすい「膵臓がん」のリスクが判定可能なことです。
    だ液を採取するだけの手軽な検査で、一度の検査で6つ(男性は乳がんを除く5つ)のがんについて現在のがんリスクをそれぞれ判定します。

    リスクの診断

    【参考】日本における「口腔がん」の死亡者数

    リスクの診断

    日本における口腔がんの人口10万人あたりの死亡者数はアメリカよりも多く、年々増加しています。
    男女別では男性の方が女性よりも死亡者数が多い状況です。
    当院では、診察時に歯や歯ぐきのチェックとともに口腔粘膜の観察をしておりますが、リスクが気になる方にはサリバチェッカーによる検査をお勧めしています。
    出典:NCI SEER Explorer, 国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)

    【参考】日本における「膵臓がん」の死亡者数

    リスクの診断

    膵臓がんは極めて進行が早く、症状が現れにくいため予後が悪いです。
    そのため、他のがんに比べて5年相対生存率が圧倒的に低いがんです。
    明らかな不調が現れてからでは治療が困難になってしまうことも少なくありません。
    早期発見が非常に重要であり、そのためには明らかな体調の変化が現れる前から自発的に検査を受けることが役立ちます。
    サリバチェッカーでは,なかなか検査を受ける機会のない膵臓がんの今現在の罹患リスクを唾液で調べることが出来ますので、定期的な検査をお勧めします。
    出典:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(厚生労働省人口動態統計)

     

    サリバチェッカーの特徴

    唾液だけで、手軽に検査

    専用キットを使って簡単にだ液を採取。5分程度で終了しますので、忙しい方でも手軽に検査を受けられます。

    体への負担なく検査可能

    少量のだ液を採取するだけなので、体への負担がありません。血液検査など痛みが苦手な方でも安心して受けられます。

    「今のリスク」がわかるレポート

    遺伝子検査のような生涯的可能性ではなく「検査時点でのがんのリスク」についてグラフやチャートでレポートします。

     

    サリバチェッカーの価格

    検査費:29,700円(税込)

    サリバチェッカーでの検査を受けた後、検査結果に応じて 相談を受け付けている医療機関をご紹介致します。
    また、精密検査をお勧めする場合には大学病院等の高次医療機関に紹介状をご用意することが出来ます。
    ※紹介状がない場合、初診料の他に選定療養費がかかることがあります。

     

    唾液検査によるリスクチェック

    当院では、ジーシー社の「サリバチェック ラボ」という検査ツールを使用しています。
    「サリバチェック ラボ」は、リアルタイムPCR法(遺伝子診断)を採用した細菌検査で、口腔内の虫歯菌や歯周病菌の種類や数を特定することで、その人に合った治療や予防法を導き出すことができます。

    歯周病菌のPCR検査

    PCR検査

    当院では歯周病菌のPCR検査を実施しています。
    PCRとはPolymerase Chain Reaction の略で、歯周病菌の遺伝子が検体中に含まれているかどうかを確認することが可能です。
    最近ではコロナ検査にもPCR検査が使われており、一般の方でも広く名前が知られるようになりました。
    感度が高いことが特徴で、調べたい菌が検体中に少しでもいれば検出することができます。
    当院では、歯周病菌のなかでも親玉であるポルフィロモナス・ジンジバリス(通称P.g.菌)をわずか45分測定することができるPCR装置導入しています。
    このPCR検査は採取時にも痛みがないので、どんな方にも安心してお受けいただけます。
    また検出結果はその場でお渡しするほか、お知らせするID・パスワードを使用してご自身のスマートフォンから専用のWeb上でもご覧いただけます。

    位相差顕微鏡

    一言で歯周病菌といっても、実は数10種類の菌が生息しており、それぞれの菌によって症状や特徴が異なります。
    そして、その中で特に慢性歯周病に大きく関わっていると言われているのが「レッドコンプレックス」と呼ばれる3菌種「P.g.菌(プロフィロモナス・ジンジバーリス菌)」「 T.f.菌(タンネレラ・フォーサイセンシス菌)」「 Td.菌(トレポネーマ・デンティコーラ菌)」です。

    これらの菌が見つかった場合、セルフケアを頑張っても症状が改善しにくかったり、治療も難航することが予想されます。

    その場合は、通院間隔を短くしてこまめなプロケアを受けていただくと同時に、お口の状態にあったセルフケア用品をお使いいただき、まずは口腔内環境の改善に努めるようにします。

    歯周病菌PCR検査費:3,960円(税込)~

    新型コロナウイルス感染症重症化予防には歯周病予防が大切です

    PCR検査

    新型コロナウイルス感染症対策に歯周病予防が効果的なことをご存知ですか? 歯周病患者は新型コロナウイルス感染症の症状が悪化しやすいことが報告されました! 新型コロナウイルス感染者数 568 名 ( うち歯周病患者 258 名 ) を調査したところ ・ ・ ・
    歯周病患者は、
    死亡する可能性が8.18倍
    ICU での集中治療が 必要となる可能性が 3.54 倍
    人工呼吸器が必要 となる可能性が 4.57 倍
    であることが報告されています。
    歯周病予防はまさに新型コロナウイルス感染重症化対策ともいえるでしょう。
    出典:Association between periodontitis and severity of COVID-19 infection: A case–control study(Wiley Online Library)

    歯周病は歯周病細菌による感染症です。初期は自覚症状に乏しく、また予知性が低い疾患です。
    今歯ぐきの状態が良くても、あるいは気にならなくても、歯周病菌に感染していたら要注意です。
    つまり、コロナと同じく、発症していることと感染していることはイコールではありません。
    新型コロナウイルス感染症の場合、ウイルス感染の有無を PCR 検査で調べます。
    歯周病についても歯周病細菌の存在・感染をPCR検査で調べることが出来るようになりました。
    とくに多数存在する歯周病細菌のなかでも最も歯周病の発症と進行に深くわっているのがPorphyromonas gingivalis( 通称 P.g. 菌 ) といわれています。
    この機会にP.g. 菌をターゲットとした PCR 検査を定期的に受けて歯周病菌をコントロールしていきましょう。

     

    虫歯リスク検査

    虫歯リスク検査

    虫歯菌というと、「ミュースタンス菌」を思い浮かべる方はきっと多いかと思います。
    確かにミュースタンス菌は虫歯の発生にかかわる代表的な原因菌ではありますが、実はそれ以外にも虫歯の原因となる菌は存在します。

    例えば「ソブリヌス菌」という菌は、虫歯の繁殖にかかわる菌で、この菌が多いと虫歯の進行が早まります。
    また、「ラクトパチラス菌」は虫歯の再発にかかわる菌で、この菌が多いと2次カリエスが発生しやすくなります。

    唾液検査では、これらの菌がどのぐらい存在しているのかを測定することが出来ますので、何に気を付けてケアをしたらよいのか、より明確に確認することが出来ます。

     

    カルシウムイオン検査

    虫歯リスク検査

    虫歯は、虫歯の原因菌への感染によって引き起こされますが、細菌に感染したからと言って必ずしも虫歯になるわけではありません。
    虫歯は、細菌が作り出した酸によって歯が溶かされる病気ですが、一方で、唾液には酸によって溶けだしたカルシウムイオンやリン酸イオンを、再び歯に戻して結晶化し修復する働きがあるため(再石灰化作用)、この働きがしっかりと機能していれば、虫歯になるリスクは低いと言えます。

    カルシウムイオンメーターは、唾液を直接滴下するだけで唾液中に含まれるカルシウムイオンを測定することができます。

    カルシウムイオンの数値が低い場合は、再石灰化の力が弱い状態にありますので、再石灰化を促すためのサポートが必要となります。

     

    位相差顕微鏡による細菌検査

    位相差顕微鏡

    位相差顕微鏡とは、肉眼では見ることのできない口腔内の細菌の様子を確認できる機器です。
    生きたままの細菌の状態を観察することができるため、数値データとして見るよりもより直感的にご理解いただけるかと思います。

    お口の中からプラーク(汚れ)を採取し、その場ですぐに確認することが出来ますので、それほど時間もかかりませんし、もちろん痛みもございません。
    治療前のリスク検査としてはもちろんのこと、治療中や治療後にも、その治療効果を目で確認していただくためのツールとして手軽に利用することが出来ます。

    どなたでもご利用いただけますので、ご興味のある方はお気軽にお声がけください。

     

    染め出し液による磨き残しチェック

    染め出し液とは、歯に付着したプラークを赤く染め出すことが出来る液です。
    シッカリと歯磨きをした後で染め出し液を歯に塗り、軽くゆすぐと、プラークが付いている部分(磨き残しがある部分)が赤く染め出された状態になりますので、ご自身の歯磨きのやり方でどこが磨けていないのか、目で見て確認することができます。

    また当院では、染め出しをした時の状態を口腔内スキャナーでスキャンし、そのスキャンデータを患者さんのスマホに送信するサービスも行っています。
    そうすると患者さんは、ご自宅でも、染め出しされた自分の口腔内の状態を、3Dデータとして自分で動かしながら確認できるため、どの部分が磨けていないのか、確認しながらハミガキすることが出来ます。

    例えば、お母さんが家でお子さんの仕上げ磨きをする際に、スキャンデータを映したスマホを手元に同じ向きにして置いて、磨けてない場所を確認しながらお子さんの仕上げ磨きをする、ということもできます。
    当院では、患者さんに合った歯ブラシや歯磨き剤の処方を行っておりますが、それに加え、このようなセルフケアがうまくいく方法を提供することも、持続可能なセルフケアを実現するための大切なポイントと考えています。

     

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