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歯みがき剤選び，医薬部外品って何？

「薬用はみがき」という言葉をよく耳にします．
歯みがき剤のパッケージをよく見てみると，「薬用」とか「医薬部外品」の文字が書かれていることもよくあります．
これらの文字には実は決められたルールがあるのです！

歯みがき剤の区別はどうなっているの？

歯みがき剤は、人の体に使用されるため，医薬品医療機器等法という法律で正しい使用法や適正な品質を保持するように規制されています．
そして一般市販されている歯みがき剤は「医薬品」，「医薬部外品」，「化粧品」に分類されています．
そこで，今回は歯みがき剤の中身についてくわしくみてみましょう．

前号では，歯みがき剤の基本的な成分のなかで、歯の汚れを落とし、歯の表面をきれいにする清掃剤（研磨剤）について注目してみました。
この清掃剤は，細かな泡立ちによって口中のすみずみの汚れを取りやすくする清掃助剤・発泡剤，香りや味付けのための香味剤などとともに機能成分と呼ばれていて，使用感に関連する成分です．
基本的な成分にはそのほか歯みがき剤を安定したペーストなどの製品に仕上げるために配合されている成分があります．

一方，これらの成分以外に，製品によっては様々な薬効を期待した「薬用成分」と呼ばれる有効成分が含まれています．
この薬用成分が含まれているものが「医薬部外品」として分類され，必ずパッケージに医薬部外品と記載されています．
歯みがき剤の多くがこの医薬部外品に相当します．

一方，薬用成分が入っていない製品は化粧品扱いになりますが，化粧品とは記載されていないことがほとんどです．
このほか，第３類医薬品に分類される歯みがき剤があります．
これは，副作用の可能性が比較的低い医薬品で，購入時に説明を受ける必要はありません．
ただし，治療薬に相当するため，通常のブラッシングを行う使用法の製品でもお薬と同じく添付文書が付いています．
おもに歯肉炎，歯周炎，歯槽膿漏などの症状の緩和を目的とする製品で，基本的には歯科医院での治療が必要な状態が対象となっています．

ところで薬用成分ってなに？

「薬用」の文字が書かれている製品，すなわち医薬部外品には必ず承認基準を満たした成分が定められた濃度で配合されています．
いくら効きそうな新成分を配合してパッケージに目立つように書いてあっても，承認された薬用成分でなければ薬用にはなりません．逆に，むし歯予防の成分としてよく知られているフッ素は薬用成分の１つなので，フッ素さえ配合していれば薬用はみがきであり，医薬部外品ということになります．薬用成分はパッケージの裏面の成分のところに「薬用成分」として記載されているのでちょっと注目して確認してみるのも面白いでしょう．
フッ化物（フッ素），殺菌剤、抗炎症剤など各種の薬用成分を配合することによって化粧品の歯みがき剤にはなかった効能・効果でむし歯や歯周病などを予防することが目的とされています．

薬用にはどんな効能・効果があるの？

厚生労働省の承認基準によると，薬用はみがきのうち，ブラッシングを必要とするものの効能・効果は次の１１個に決められています．
そのうち，①〜⑦には必ず定められた薬用成分を必要濃度配合することになっています．
成分によって製品に記載できるキーワードが決まっているのですね．この承認基準以外にもメーカーが個別に国の認可を受けた薬用成分もあります．

1. 歯周炎(歯槽膿漏)の予防
2. 歯肉(齦)炎の予防
3. 歯石の沈着を防ぐ
4. むし歯の発生及び進行の予防
5. 口臭の防止
6. タバコのやに除去
7. 歯がしみるのを防ぐ
8. 歯を白くする
9. 口中を浄化する
10. 口中を爽快にする
11. むし歯を防ぐ

まとめ

歯みがき剤をうまく選ぶには，まずはお口のなかの状況を理解することが大切．
もしご自分のお口の状況がよくわからないかたは今日の受診で教えてもらいましょう．
歯みがき剤選びに迷われたら，歯科医院で歯ブラシと一緒に歯みがき剤を “処方”してもらいましょう．
次回は薬用成分についてさらにくわしくみていきましょう．