ナノケア

     

    Topics ―トピックス―

    国内初となるハイドロキシアパタイト講演会に高輪歯科 加藤院長が登壇しました。
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    ナノハイドロキシアパタイトによるプロフェッショナルケア「ナノケア」を考案した加藤院長が,このたび,歯科医療従事者向けの専門書「ナノケア」を出版しました
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    歯面研磨から、歯面修復へのパラダイムシフトを

    プロフェッショナルケア

    歯科医院でのプロフェッショナルケアは、セルフケアで落としきれなかった歯の汚れを除去し、予防効果を得ることができます。

    しかしながら一方で、予防処置としての歯面研磨が歯の表面のエナメル質に細かな傷を作り、状況によっては歯質の損失へとつながっている現状をご存じでしょうか?

    歯面研磨の際に使われるPMTCペーストの中には、汚れをかき取るための研磨剤が含まれているため、これが歯の表面にミクロの傷をつけてしまうのです。

    とはいえ、通常は再石灰化によりそのミクロの傷は修復されていくため、それによって歯が摩耗していくということはありません。しかし、再石灰化よりも研磨スピードが上回るようでは歯は修復が間に合わずに摩耗していくことになりかねないのです。

     

    研磨から修復へ、ミクロの傷を埋めるナノケアを

    当院では、従来のような歯面研磨によるケアではなく、歯面修復によるケア、つまり、「削る」のではなく「埋める」ケアを実践しています。

    具体的には、歯面には研磨による傷を含めて様々な凹凸が存在しますが、その凹凸部分を歯と同じ成分であるハイドロキシアパタイトで埋め立てていきます。

    これにより、歯質内部にまでミネラル分を補給し、歯質の強化と再石灰化を促進して虫歯に負けない丈夫な歯に改質していきます。

     

    ハイドロキシアパタイトとは

    ハイドロキシアパタイトとは、リン酸カルシウムの一種で、歯と骨の主成分です。
    ヒトの身体の中では水とコラーゲンなどの有機物に次いで多く、骨の約60%、歯のエナメル質の97%、象牙質の70%がハイドロキシアパタイトで構成されています。
    ハイドロキシアパタイトは生体親和性が非常に高いことから、医療機器や歯科材料、身近なところでは化粧品や健康食品にも配合されています。
    歯科剤用としての利用では、下記のような特徴があります。

    1. 歯垢の吸着除去:歯の表面に付着した歯垢をからめとリます。研磨の力ではなく、汚れを吸着しながら取り除くので、歯を傷つけずに汚れをとることができます。
    2. 微小欠損の充てん:歯の表面のエナメル質についたミクロの傷を埋め、滑らかにし、歯垢や着色汚れをつきにくくします。
    3. 初期むし歯の再石灰化:エナメル質の表層下から溶け出したミネラルを補給し、表層下脱灰層(初期むし歯)を再石灰化、修復します。

     

    フッ化物(フッ素)との違い

    初期むし歯の再石灰化のための有効成分として、従来よりフッ素(フッ化物)が取り上げられてきました。
    確かに、虫歯予防にはフッ化物は不可欠であり、再石灰化を促進する作用についても十分に認められています。

    しかしながら、フッ化物は再石灰化のスピードが速く、歯の表面のみが高度に再石灰化してしまう(最表層の結晶サイズが大きくなる)ため、歯の内部にミネラルが到達しにくくなってしまう場合もあります。
    特に、歯質内部がミネラル不足の状態(脱灰状態)になっている歯の場合、ミネラルが不足したまま表面を再石灰化によりコーティングしてしまうことで、脱灰部分を閉じ込めてしまう恐れもあります。

    それに対しハイドロキシアパタイトは最表層の結晶サイズが小さいため、必要なミネラルが浸透しやすく、表層部だけではなく歯質そのものの強化を図ることができます。それぞれ、メリットデメリットがありますので、状況によって使い分けることが重要です。

    プロケア フッ化物による再石灰化イメージ プロケア ナノケアによる再石灰化イメージ

     

     

    機械的清掃から、化学的清掃へ

    プロケア

    医院でのプロフェッショナルケアにおいて歯の汚れを取り除く手段として、一般的には、PMTCなどの機械的清掃によって行われることがほとんどかと思います。

    しかし、歯質の損失を極力抑えるためには、表面を傷つけてしまう恐れのある機械的清掃よりも、薬剤によって汚れを除去する化学的清掃のほうが有効な手段となりえます。

    具体的には、10%次亜塩素酸ナトリウムである「ADゲル」の強力な殺菌作用と有機物の除去作用を利用し、歯面にこびりついたバイオフィルムやステインなどを溶かして歯面の細かな凹凸にまで入り込んだ細菌を殺菌していきます。

    これにより、歯面を傷つけることなくミクロレベルでの清掃が可能となります。

     

    歯面にナノレベルのミネラルを補給

    プロケア

    化学的清掃により歯面の汚れを完全に除去した後は、ナノレベルのミネラル粒子が配合されたペーストを使用して歯面に塗り込み、ミネラルを浸透させます。

    当院では、ナノ粒子ハイドロキシアパタイトが高配合されたRENAMEL Treatment paste(サンギ社製)を使用しています。
    上記の化学的清掃と合わせて行うことで再石灰化率が2倍になるとの報告もされており、高い効果を期待することができます。

     

    補綴物を傷つけない、オーダーメイドのプロフェッショナルケア

    プロフェッショナルケア

    メタルクラウンのマージン付近(歯茎との境目)についていた無数の傷。プロケアによるダメージと思われる

    ある程度の年齢になってくると、口腔内に何かしらの補綴物が装着されているケースが多く、実際の臨床現場においてもほとんどが、天然歯と補綴物が混合しているケースになります。
    さらに、補綴物にも金属やセラミック、レジンなどさまざまな材料があり、それぞれに材質が違うため、ケアの方法もそれぞれに合った方法で行わなければいけません

    ですが実際には、補綴物であっても天然歯と同じように研磨剤による歯面研磨を行っている医院も少なくなく、やり方によっては補綴物を傷つけ、かえって汚れが付きやすい状態にしてしまうこともあります。

    補綴物は天然歯と違って再石灰化できないため、研磨は腐食やバイオフィルムの付着を増長することになりかねないのです。

    当院では、患者さんのお口の中に入っている補綴物の材質・状況を細かくチェックし、一本一本の歯に合わせたプロフェッショナルケアを実践しています。

     

    補綴物の種類によって、道具や製品を使い分けます

    プロケア

    さまざまな修復材料のうち、ケアによって傷つけやすいのは金属とレジン系の材料です。

    例えば歯科医院でのメンテナンスの際、歯石除去のためにメタルチップを装着した超音波スケーラーという道具を使用しますが、金属の詰め物や被せ物にこのメタルチップが当たってしまうと、比較的小さなパワーでも明らかな傷がついてしまいます。
    また、チタン製のインプラントのアバットメントも柔らかい金属ですので、メタルチップの接触は避けなければいけません。

    こういった補綴物の周辺は、メタル製のチップではなく、プラスチック製のチップを使用してケアをするようにします

    補綴物は、技工所で鏡面研磨され、医院に納められた時がベストな状態です。補綴物のケアは、いかにそのベストな状態を維持していくかがポイントとなり、なるべく傷つけないということを常に意識しなければいけません。
    スケーラーなどの傷つけやすい道具よりも、バイオフィルム除去能力の高い超音波歯ブラシや、マイクロファイバー系のデンタルフロスなどを積極的に活用して、補綴物の素材に合わせて一本一本の歯を丁寧にケアしています。

     

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